スターリン様式建築とは
このサイトでご紹介する「スターリン様式建築」とは何でしょうか?
「スターリン様式建築」の「スターリン」とは、ご想像の通りあのヨシフ・スターリンです。
スターリンは第2次世界大戦後、疲労したソビエトの国力と経済の復興に力を入れました。
そして1947年、モスクワ建都800年を祝い、スターリンは世界の模範的首都とし、ソビエト宮殿を含むモスクワ再建、共産主義国家の首都モスクワの復興の音頭を自ら掲げました。
そしてモスクワの7つの丘を象徴する7つの高層ビル建設を進めたのです。
ソビエト宮殿は再着工したものの基礎工事のみで完成することはありませんでしたが、宮殿を取り囲むように配置された7つの高層ビル群は頂点には尖塔を取り付け、その威容を示したのです。
この7つの高層ビルが、現在「スターリン・アンビール様式」、「スターリンゴシック」別名「セブンシスターズ」と呼ばれています。
その7つの高層ビルとは
- モスクワ大学本館
- ロシア連邦外務省
- ロシア連邦運輸機関建設省
- 文化人アパート
- 芸術家アパート
- ウクライナ・ホテル
- レニングラード・ホテル
です。
それぞれの建物の写真は下記。
最初は見分けがつきにくいですが、よくみるとまったくデザインも個性も違います。
もう少しスターリン様式の詳細を言えば、1933年(ソビエト宮殿の最終デザインが固まった年)から、1955年(ソビエト建築アカデミーが廃止された年)までの間に建てられたもの「スターリン様式」をいいます。そのスターリン様式の中でも特に「スターリンゴシック」と呼ばれる様式の重厚な高層建築が「セブンシスターズ」です。
「スターリン・アンビール様式」「セブンシスターズ」の特徴として、中央に高くそびえる尖塔があります。
このスタイルは、1940年代以降のソビエト連邦内の大規模建築、特に超高層ビルに多く見られるほか、第二次世界大戦後にソビエト連邦の衛星国となった東ヨーロッパ諸国や中国などの共産主義国家の建築にも大きな影響を与えている。
現在も旧東ドイツの首都であるベルリンやポーランドのワルシャワ(文化科学宮殿)、チェコのプラハ(プラハ・インターナショナルホテル)、ラトヴィアのリガ(ラトヴィア科学アカデミー)中国の北京(人民大会堂)、上海(上海展覧センター)北朝鮮の平壌(人民大学習堂、錦繍山記念宮殿、平壌駅)などにその影響を受けた建築物が散見されます。
この「セブンシスターズ」のスタイルですが、何かに似ていませんか?
そう、アメリカニューヨークの高層ビル「エンパイアステートビル」と「クライスラービル」です。
クライスラービルとエンパイアステートビルが完成したのは1930年、31年ですから、明らかに対抗意識とデザインに対しての強い影響があったと思われます。