「人形焼」発祥の地といわれる日本橋人形町。
安産の神さま「水天宮」があり、東京で最も長い歴史を持つ劇場「明治座」があり、阿部寛さん主演のドラマ「新参者」、映画「祈りの幕が下りる時」の舞台となった町。
そして、私Kenが生まれた町、今住んでいる町でもあります^^
この人形町には、人形焼屋さんが2件あります。
『板倉屋』と『重盛永信堂』です。
どちらも創業100年を超える老舗。
毎日夕方には商品が売り切れてしまうほど人気の人形焼屋さんです。
そこで素朴な疑問。
『板倉屋』と『重盛永信堂』の人形焼、何がどう違うの?
どっちがおいしいの?
ということで、この老舗2店舗の人形焼を食べ比べして、徹底比較してみました!
それぞれの人形焼は、どのような特徴があるのでしょうか?
味や見た目にどのような違いがあるのでしょうか?
買う時にどういう基準で選べばいいのでしょうか?
食べてもいないのに、情報を寄せ集めて書いた記事ではありません。
人形町生まれで、ガキの頃から人形焼を食べてきたわたしだからこそ、がっつりと書きたいと思います!
今回の記事では、人形町の老舗人形焼屋『板倉屋』vs『重盛永信堂』の食べ比べを紹介します!
⇒【新参者ロケ地巡り】映画『祈りの幕が下りる時』の日本橋・人形町を地元民が徹底チェック!
⇒人形町生まれで今も在住者が厳選!『人形町・水天宮前』おすすめランチのお店【18選】!
⇒【永久保存版】『日本橋七福神めぐり』!地元・人形町人のおススメのまわり方7コース!
目次
「人形焼」と「人形町」について
日本橋人形町が発祥と言われる「人形焼」。
「人形焼」と「人形町」、両方ともに「人形」という文字がつきますね。
江戸時代、人形町には歌舞伎小屋の「中村座」と「市村座」、薩摩浄瑠璃(薩摩座)や人形芝居(結城座)といった芝居小屋もありました。
そういった土地柄、たくさんの人形師が住み、その人形師が作る人形が売られるお店が並んでいたことから俗称で「人形町」と呼ばれていたものが正式町名になったそうです。
これは、その芝居小屋がにぎわっていた付近の跡地「堺町・葺屋町芝居町跡」にある看板。
「スターバックス人形町店」の前にあります。
そのなごりは今も人形町に残っています。
こちらは、東京で最も長い歴史を持つ劇場「明治座」。
その他、人形供養をしていただける「大観音寺」、毎年10月に人形町商店街で行われる「人形市」なども「人形」にまつわるものですねー。
そんな人形の町「人形町」にちなんだお菓子として生まれたのが「人形焼」なのですね。
「ウィキペディア」にはこのように書かれています。
人形焼(にんぎょうやき)は、カステラにあんこなどを入れて焼いた和菓子である。
人形焼のあんこはこしあんが多いが、中には小倉あんが入っているものや、餡なしやカステラ焼きと呼ばれる餡のないものもある。
変わり種としては、抹茶あん、さくらあんやカスタードクリームなどを入れたものもある。
東京都中央区日本橋人形町が発祥地とされ、東京土産として有名である。
人形町は「人形焼発祥の地」といわれていますが、だからといってたくさんの人形焼屋さんがあるわけではありません。
現在人形町の人形焼屋は、『板倉屋』と『重盛永信堂』の二軒のみとなっています。
実は少ないんですよ。
以前は、もう一件『亀井堂』というお店が甘酒横丁にありました。
『板倉屋』『重盛永信堂』『亀井堂』で「人形焼御三家」といわれていました。
ですが残念ながら、2018年1月に閉店されてしまいました。
残念です。
人形町の人形焼屋『板倉屋』と『重盛永信堂』
では、人形町の人形焼屋『板倉屋』と『重盛永信堂』について書いていきますね。
『板倉屋』
こちらが『板倉屋』。
創業は明治40年(1907年)。
『重盛永信堂』より創業は古いです。
甘酒横丁の入口、日比谷線人形町駅「A1」出口すぐ横にあります。
『重盛永信堂』に比べると、こじんまりとしたお店です。
人形焼を焼いている職人さんも、基本的にひとりです。
店頭には、人形焼のモチーフにもなっている七福神がかざられています。
この『板倉屋』が、七福神モチーフを作った元祖と言われています。
実際の人形焼には、七福神のうちの六つの神さましかいません。
最後のひとつは、お客さまの笑顔。
その笑顔で七福神は完成するという粋な演出♪
(欠けているのは神さまは「寿老人」。ひとりだけ顔が長いので他の神さまと同じ型に入れられなかったのが理由みたい)
こちらは、『板倉屋』の手焼き風景。
写真の焼いている人は四代目。
後ろの壁には、代々使われてきたたくさんの型が並べられています。
機械で作られる人形焼がほとんどを占める昨今、板倉屋の人形焼は創業110年以上変わらぬ手焼きで作っています。伝統を守りつつも、手焼きによって一つ一つの人形焼もきれいに仕上げることができます。みなさんもぜひ手焼きのおいしさを実感してみてくださいね(^o⌒*)/ pic.twitter.com/8TzhbQJLIr
— 人形焼本舗 板倉屋 (@itakuraya) 2016年12月1日
『重盛永信堂』
こちらが『重盛永信堂』。
安産の神さま「水天宮」の前にあります。
人形町通りに創業したのが大正6年(1917年)。
『板倉屋』より創業が若干あとですが、こちらも100年以上の老舗です。
阿部寛さん主演のドラマ「新参者」、映画「祈りの幕が下りる時」にも出てくるお店ですので、行列率高し。
お店も大きく、奥では何人もの職人さんが人形焼を焼いています。
人形焼のモチーフについて
人形焼きを食べる楽しみのひとつに、「モチーフ(型)」があります。
どんな形なのか、顔がかわいいか不細工か、好きな神さまか・・・
食べるときの楽しみのひとつですね。
「ウィキペディア」にはこのように書かれています。
文楽人形や七福神の焼き型を用いたものが伝統的なものであったが、焼き型は時代とともに移り変わっている。
大正時代に人形町で修行した職人が浅草で始めたものは、雷門や五重塔など浅草の名所をモチーフとし、当初は「名所焼」と称して販売していた。
また戦時色の濃かった時代は戦車や大砲などを模したものもあった。
現在でも人形町のごく一部の店舗ではこの焼き型で製造されている。
近年ではハローキティをはじめとする様々なキャラクターを模した型を用いた製品もあり、合格を祈念した人形焼もある。
人形町の人形焼のモチーフは、縁起がいい「七福神」。
お土産にも喜ばれる理由のひとつ。
(スタンダードな「こしあん入り」の場合)
『板倉屋』『重盛永信堂』共にそうです。
人形町は神社が多く「人形町七福神巡り」が行われていているほど、七福神と縁が深い町です。
人形焼のもう一つのめっかである浅草の人形焼は、「雷門」や「五重塔」など浅草の観光名所をモチーフとしたものが有名ですね。
浅草の老舗人形焼屋「木村屋本店」の人形焼のモチーフは、「五重の塔」「雷様」「提灯」「鳩」。
人形町のものとはまったく違いますね。
あんこなしのカステラ焼きの場合は、戦車や大砲、旭日旗、ピストルなどがモチーフ。
「戦時焼」とも呼ばれています。
戦時中は、あんこが手に入りにくかったことから考案されたそうです。
このあんなし人形焼も、実はとてもファンが多い(通称「あんなし派」)。
『板倉屋』の「戦時焼」は午前中に完売してしまいます。
『重盛永信堂』は、「つぶしあん」が入ったものは「壺焼き」、「白あん」が入ったものは「登り鮎」と、中身とモチーフを分けて販売しています。
『板倉屋』さんのツイッターを見ると、昔は「七福神の全身像」や、魚や貝の人形焼もあったようです。
形によって食感も違うというのも面白いですね。
画像をご覧ください♪こちらが、今から106年前の創業当時に焼いておりました、全身像の人形焼でございます!職人さんが練習に焼いたもので販売はしていないのですが、たねと餡は同じなのに食感が全く違います。改良を重ねて今の形になったんだすね☆ pic.twitter.com/eNRIvdPgPz
— 人形焼本舗 板倉屋 (@itakuraya) 2013年2月22日
昨日の続きです。
社長も初めて見るという型ですが、イカやカニや貝の形をしております!!
これはおそらく、近所の小網町や蛎殻町辺りが漁師の小網干し場で、牡蠣の殻の蓄積した海浜であったらしいということからなのではないかと推測されます。 pic.twitter.com/2esUTuPo25— 人形焼本舗 板倉屋 (@itakuraya) 2013年4月28日
こちらの動画では、『板倉屋』の3代目が、七福神の全身像と顔だけの人形焼の食感の違いを説明してくれています。
『板倉屋』vs『重盛永信堂』人形焼の原材料比較!
『板倉屋』と『重盛永信堂』、二軒の人形焼の原材料を比較してみたいと思います。
こちらは『板倉屋』の人形焼の原材料。
パッケージのシールには、「小麦粉、砂糖、卵、小豆、加糖練乳、蜂蜜、みりん」と書かれています。
こちらは『重盛永信堂』の人形焼の原材料。
パッケージのシールには、「小豆餡(北海道産小豆、砂糖、水飴、食塩)、砂糖、小麦粉、卵、練乳、蜂蜜、味醂」と書かれています。
原材料に大きな違いはありませんね。
ほぼ同じです。
あんこに関しては、『重盛永信堂』が明細を記載し、「北海道産小豆」を使っていると書いていますね。
『板倉屋』のパッケージにはあんこについての細かい記載はありませんが、「北海道十勝産」のあんこです。
相当こだわりをもって作っていることは、下記のツイッターを見てもわかりますね。
冷え込みが厳しくなってきましたね!板倉屋は今日も美味しいあんこを炊いてお待ちしております。板倉屋では小豆本来のうまみとみずみずしい舌触り、それを際立たせる程良い甘みをもたせています。水にもこだわった美味しいあんこで是非温まってくださいね(*´ー`*) pic.twitter.com/bvaBNh8mFU
— 人形焼本舗 板倉屋 (@itakuraya) 2016年11月29日
こちらの動画を見ると、生地も一晩寝かせて砂糖の甘味を引き出したりと、とても丁寧に作られていることがわかります。
保存料、化学調味料などの添加物は、ともにいっさい入っていません。
うれしいですね。
ですが、そのぶん劣化スピードがはやいです。
人形焼の売り方は、基本的には簡易なパック売りです。
真空パック、乾燥材などが入っているような個包装はありません。
賞味期限は、『板倉屋』が3日、『重盛永信堂』が5日となっていますが、できれば当日に食べたほうがいいです。
カステラ部分の劣化がとくに激しいので(すぐ乾燥する)、食べるのは早ければ早い方がいいです。
『板倉屋』vs『重盛永信堂』人形焼食べ比べ!
では実際に、『板倉屋』と『重盛永信堂』の人形焼を食べ比べてみます!
まずは見た目の違いから見ていきましょう。
顔が同じ人形焼を並べてみました。
今回ならべて比較したモチーフは「布袋尊」と「弁財天」。
左が『板倉屋』の人形焼。
右が『重盛永信堂』の人形焼。
大きさはほとんど同じです。
値段は、『板倉屋』が1個100円、『重盛永信堂』が1個130円です。
いやー、こうやって並べてみるとけっこう怖いですね(笑)
もう少しアップで見てみます。
右の『重盛永信堂』の人形焼のほうが、生地の気泡が目立ち、黒っぽく見えますね。
生地が薄く、あんこが透けてみえるので色黒に見えます。
逆に左の『板倉屋』は、カステラ生地の黄色っぽさを感じますね。
ひとつずつさらにアップで見てみます。
『重盛永信堂』のほうが「あんこが多い=やわらかい・凹んだら戻らない」ので、ブサイク顔になりやすい(笑)
『板倉屋』の人形焼は、鼻に穴がポコッとあいているのが特徴(すべてかどうかはわかりませんが)。
わたしは『板倉屋』の人形焼を手にすると、どうしても鼻から見てしまいます(笑)
今度は、裏側を見てみます。
生地の薄さの違いが、表側よりもはっきりわかります。
『重盛永信堂』のほうは、すこしアンコが出てしまっているほど生地が極薄。
そして、脂っぽいテカりが出ています。
今度は横から。
裏側のふくらみに違いが大きいので、わかりやすいように顔を下に向けて並べてみました。
左側の『板倉屋』のほうが、カステラのふくらみが出てころんとした丸みを帯びています。
『重盛永信堂』のは直線的です。
では、半分に切って断面を見てみましょう。
包丁で顔をぶすり。
で、こちらが切った人形焼の断面。
並べてみると、その違いがはっきりわかる!
「あんこの量」と「生地の厚さ」がまったく違いますね。
左側の生地が厚いのが『板倉屋』の人形焼。
右側のあんこが多いのが『重盛永信堂』の人形焼。
これだけ違うと、味も食感もまったく違います。
もう少しアップで見てみます。
こちらが『板倉屋』。
こちらが『重盛永信堂』。
見比べてみると、あんこの量、カステラ部分の厚みの違いが歴然!
あんこは両方とも「こしあん」です。
あんこ自体の色味(黒&紫)も甘さも、両者ほとんど違いは感じませんでした。
両方ともとても上品な甘み。
「粒あん」にはない「こしあん」独特の、ねっとり感、滑らかさがいいですね。
では実際に、2つの人形焼を比較、実食した感想を。
『板倉屋』の人形焼は、「生地厚め・あんこ少な目」。
生地のカステラの甘味もしっかり楽しめる人形焼と言えます。
厚めのカステラ生地をかじると、「パフッ」としたやわらかな食感とともに、卵と砂糖の軽い甘味が「ふわっ」ときます。
それからあんこの「どしっ」とした甘味が追いかけてきます。
『重盛永信堂』の人形焼は、「生地薄め・あんこ多め」。
あんこをしっかりと楽しめる人形焼ですね。
口に入れると、『板倉屋』の人形焼にあったカステラの生地自体の歯ごたえはほとんどありません。
いきなりあんこの「どしっ」とした甘みと「ねっとり感」が口の中いっぱいに広がります。
ですが、生地の味がないわけではありません。
カステラというより、焼きの香ばしい薄皮が包んでいるような感じ。
甘味は、意外にも『板倉屋』のほうが強く感じました。
カステラの強めの甘味が上乗せされるといった感じ。
あんこ自体の甘さは上品。
あんこの量が多くてもイヤミがなく、口の中で滑らかに溶けていきます。
2軒の人形町の人形焼を購入するときの選ぶポイントしては、
カステラ生地の甘味とあんこのハーモニーを楽しみたいのであれば『板倉屋』
たっぷりのあんこの味と焼きの香ばしさを楽しみたいのであれば『重盛永信堂』
といったようにになるかなー。
違ういい方をすれば、『板倉屋』は駄菓子・スナック感覚、『重盛永信堂』はすこし和菓子寄りともいえますね。
あなたも人形焼を食べ比べてみよう!
人形町に来たら、あなたもぜひ人形焼を食べ比べをしてみてください。
『板倉屋』と『重盛永信堂』、この二軒のお店の距離は、約200メートル、徒歩2分くらいの距離。
食べ比べができる距離です^^
1個ずつも売ってくれます。
焼きたてをぜひ食べてみてください。
人形焼は劣化スピードがはげしいので、出来立てがいちばんおいしいですよ。
人形町の人形焼を食べ比べまとめ
『板倉屋』と『重盛永信堂』、この二軒のお店の人形焼。
人形町生まれのわたしも、なんだかんだで40年以上この二軒の人形焼を食べています。
ですが、ここまできちんと比較をしたことがありませんでした。
比較してみることで、両者の特徴や違いがわかって面白かったです。
どちらの人形焼もとても美味しいです。
あとはあなたが実際に食べ比べてみて、自分の舌で感じてみてくださいね。
⇒【新参者ロケ地巡り】映画『祈りの幕が下りる時』の日本橋・人形町を地元民が徹底チェック!
⇒人形町生まれで今も在住者が厳選!『人形町・水天宮前』おすすめランチのお店【18選】!
⇒【永久保存版】『日本橋七福神めぐり』!地元・人形町人のおススメのまわり方7コース!
人形町の人形焼屋詳細
『板倉屋』詳細
名称 | 人形焼本舗板倉屋(有限会社 藤井商店) |
住所 | 〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町2-4-2 |
電話 | 03-3667-4818 |
アクセス・最寄り駅 | 日比谷線人形町駅A1出口下車 0分 都営浅草線人形町駅下車 3分 営団メトロ半蔵門線・水天宮駅下車 3分 |
営業時間 | 月~日曜日(9:00~売切れ次第終了) |
定休日 | 不定休 |
公式ホームページ | http://www.itakuraya.com/ |
地図 |
『重盛永信堂』詳細
名称 | 重盛永信堂 |
住所 | 〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町2-1-1 重盛永信堂ビル 1F |
電話 | 03-3666-5885 |
アクセス・最寄り駅 | 日比谷線人形町駅A1出口下車 0分 都営浅草線人形町駅下車 3分 営団メトロ半蔵門線・水天宮駅下車 3分 |
営業時間 | [月~金] 9:00~20:00 [土] 9:00~18:00 ※営業時間や休みは、水天宮の「戌の日」などにあわせて不規則なところあり。HP要確認 |
定休日 | 日曜・祝日(日曜営業している場合もあり。HP要確認) |
公式ホームページ | http://www.shigemori-eishindo.co.jp/ |
地図 |