こんにちは!
Ken(@kanyesina)です。
先日、モスクワに行ってきました。
モスクワは、わたしが8年近く住んだ第2の故郷。
ちょっくら里帰りという感じで行ってきました。
本記事では、ロシアを代表するシンボル的な建物である『聖ワシリー大聖堂』のチケットの買い方や観光するときの見どころポイントなどについてがっつりこってりと書いてみました!
というのも、世界遺産であり、モスクワ屈指の人気の観光スポットである『聖ワシリー大聖堂』ですが、その情報がどれもモノ足りないんですよね。
「地球の歩き方」のようなガイドブックはもちろん、ネットでの情報もいまいち不足感がある。
どれも似たようなことばかり書いてある。
ですので、わたしがガイドブックに載っていないようなネタを含めてわかりやすく書いてみました。
せっかくのモスクワ観光をしっかりと楽しんでもらいたいですからね。
では、『聖ワシリー大聖堂』観光を10倍楽しむ方法、行ってみましょー!
目次
『聖ワシリー大聖堂』とは?観光前に知っておきたい基礎知識とウンチク
では、観光前に知っておきたい『聖ワシリー大聖堂』の基本的な知識とウンチクをザザザっと書いていきますね。
「ウィキペディア」やロシアの観光ガイドブックに載っていないことも書いています。
この記事に書いていることを知ったうえで観光すると、10倍面白く見れますよ!
『聖ワシリー大聖堂』の名前について
『聖ワシリー大聖堂』の名前ですが、正式名称は「堀の生神女庇護大聖堂(ポクロフスキー大聖堂)」といいます。
「生神女(しょうしんじょ)」は、聖母マリアの称号です。
「聖母マリアを庇護している聖堂」ということなのですね。
「ポクロフスキー大聖堂」の「ポクロフ(Покров)」は、ロシア語で「庇護(ひご)」を意味します。
『聖ワシリー大聖堂』の「ワシリー」というのは、人の名前からつけられたニックネームです。
「ワシリー」さんという聖人が、この大聖堂の一角に眠っていることからそう呼ばれるようなりました。
この人が聖人ワシリー。
では、ロシア語での名前についても少し書いておきます。
『聖ワシリー大聖堂』は、ロシア語で「Храм Василия Блаженного(フラム・ワシリヤ・ブラジェンナヴァ)」と言います。
「Храм(フラム)」は、ロシア語で「聖堂」や「寺院」のこと。
「Василия(ワシリヤ)」は聖人の「ワシリー(人名)」さんですね。
「Блаженного(ブラジェンナヴァ)」というのは、「ブラジェンヌィー(知的障害者)」のことを意味するロシア語。
原意は「神の加護の至福」で、「神聖な存在」というようなニュアンスになりますね。
ちなみに英語で『聖ワシリー大聖堂』は、「Saint Basil’s Cathedral」です。
「教会(Church)」ではなく、「大聖堂(Cathedral)」です。
『聖ワシリー大聖堂』の歴史について
まずは『聖ワシリー大聖堂』の建築時期について。
1555年に建築が開始、1561年6月29日に完成されたといわれています。
ネットや書籍などの情報を見てみると、建設時期の記述がばらついていたりしますが、「1555年~1561年」が公式ですね。
『聖ワシリー大聖堂』の前にあるプレートにも、しっかりと記載されています。
その時代の日本では、武田信玄と上杉謙信が川中島で戦っていたころですね。
つぎに、『聖ワシリー大聖堂』の建築した理由について。
簡単に言うと、タタール人支配に対しての戦勝記念のために作られました。
この当時のロシアは、「タタールのくびき」といって、2世紀にわたってモンゴル(キプチャク・ハーン国)の支配下にあったのです。
そのロシアにとって悪夢の時代だった「タタールのくびき」を、イヴァン雷帝がやっとのことで終わらせたのです。
ということで、『聖ワシリー大聖堂』は「タタールのくびき」終焉、新たなロシア中央集権国家のスタートのシンボルとして建てられた記念すべき建物なのです。
ちなみに、『聖ワシリー大聖堂』を建てたのは、その「タタールのくびき」を終わらせたイヴァン雷帝。
下記は、16世紀当時の『聖ワシリー大聖堂』の版画。
現在のようなカラフルな色ではなかったようです。
こちらは、1802年当時の『聖ワシリー大聖堂』。
現在と同じようなカラフルな色彩になっています。
ですが、教会周辺はかなり違いますね。
『聖ワシリー大聖堂』をデザイン・建築した人は?
『聖ワシリー大聖堂』をデザイン・設計した人は、パストニク・ヤーコヴレフ(Постник Яковлев/Postnik Yakovlev)とバルマ(Барма, Иван/Ivan Barma)の2人。
『聖ワシリー大聖堂』前にあるプレートにも、しっかりと二人の名前が刻まれています。
都市伝説的な話として有名な話があります。
イヴァン雷帝が、『聖ワシリー大聖堂』以上の建築物を作らせないように、ヤーコヴレフとバルマの目をくり抜いたというもの。
この話は史実には反しているというのが、歴史家の一致した意見のようです。
つまり、事実ではないということですね。
でも、本当にありえそうな話ですよね。
それほど『聖ワシリー大聖堂』は、素晴らしい完成度を誇っているといえるのでしょうね。
『聖ワシリー大聖堂』の前にあるブロンズ像の人って誰?
『聖ワシリー大聖堂』の前に、大きなブロンズ像があります。
では、この2人はいったい誰なのでしょうか?
『聖ワシリー大聖堂』に関係ある人なのでしょうか?
この2人は、ドミートリー・ミハイロヴィチ・ポジャールスキー(Дмитрий Михайлович Пожарский/Dmitry Pozharsky)とクジマ・ミーニン(Кузьма Минин/Kuzma Minin)。
ですので、像の名前は「ミーニンとポジャールスキー像」と言います。
(日本では「ポジャールスキー」と書かれていることが多いですが、実際には「パジャールスキー」という発音が正しいです)
1612年のロシア・ポーランド戦争において、重要な役割&活躍した人物です。
当時モスクワに侵攻していたポーランド軍を撃退し、解放した英雄。
銅像の下の台座には、「市民ミーニンと公爵ポジャールスキーへ感謝をこめて ロシアより 1818年」と彫られています。
ということで、『聖ワシリー大聖堂』とこの二人は、とくに関係はありません~。
『聖ワシリー大聖堂』の外観の見どころ
『聖ワシリー大聖堂』といえば、やっぱりあのカラフルで独特な外観のデザインですよね!
ロシアを代表する建築物として世界的にも有名であり、その建築方法も独特なものです。
その外観ををたっぷり楽しむために、「へー、そうなんだー!」という見どころポイントを書いておきますね。
『聖ワシリー大聖堂』は「1+8」で構成されている
『聖ワシリー大聖堂』は、9つの建物が合わさって1つの聖堂になっています。
まず中央に主聖堂があり、玉ねぎ屋根の8つの小聖堂が周りを取り囲んで大聖堂を構成していまるのです。
(実際は10個なのですが)
それぞれの小聖堂には、聖人の名前が付けられています。
『聖ワシリー大聖堂』のデザインには「正方形」と「十字架」が埋め込まれている
前の章で、『聖ワシリー大聖堂』は、中央に主聖堂、8つの小聖堂というグループで大聖堂を構成していると書きました。
そのレイアウトの下地になっているのは、2つの「正方形」。
「正方形」内にもう一つの「正方形」が45度回転した8角形のレイアウトになっています。
2つの正方形は、45度の角度にずらすことで「8つの星」を表します。
数字の「8」はキリスト復活、聖母の象徴を意味しています。
つまり、「8」を意識して建築物がデザインされているのです。
そしてさらに、「正方形」の中に十字架を建物内部に埋め込んだ形にデザインされています。
これは、「クロス・イン・スクエア(正方形内十字形)」型といって、ビザンチン建築のスタイルを取り入れています。
そして、『聖ワシリー大聖堂』の中央の主聖堂を取り囲む4つの大きな教会は、「東西南北」に向けて建てられています。
東西南北(十字の軸)の4つは大きなドーム、残りの4つはそれらの間に小さなドームとして配置されています。
この「4」という数字もデザインに意識して埋め込まれている数字です。
正方形の4つの側面は、世界の4つの方向へ。
十字架の4点は、4つの終わり、4つの使徒(伝道者)を意味します。
『聖ワシリー大聖堂』は「太陽系の天体」を表現している?
『聖ワシリー大聖堂』は、「太陽系の天体」を表現しているとも言われています。
『聖ワシリー大聖堂』の中央にある主聖堂には、「金色」の玉ねぎドームがついています。
教会という建築物において「金色」というのは、「太陽」をシンボル化していることが多いです。
『聖ワシリー大聖堂』は、「金色=太陽」の玉ねぎドームを中心に、8つの星が囲んでいるということです。
屋根のねじれは、太陽を周回するときの方向にあわせてねじれている。
そんな逸話もあります。
地動説を唱え、現在の天文学の基礎を築いたガリレオ・ガリレイが生まれたのが1564年、『聖ワシリー大聖堂』は1555年に建築が開始。
そう考えると、「太陽系の天体」を意識して設計したというのは、ちょっと都市伝説かも。
ですが、「もしかしてそうかも!」と思わせる不思議さがありますよねー
『聖ワシリー大聖堂』には特定のファサード(顔)がない
『聖ワシリー大聖堂』は、特定の「ファサード(正面)」がないというのが特徴的ということ。
通常の建築物は、特定の「ファサード」があります。
それが建物の顔になります。
ロシアの他の教会や建築物でも、それは例外ではありません。
これはクレムリンの「アルハンゲリスク聖堂」。
「ファサード(正面)」がはっきりわかります。
これは「救世主ハリストス大聖堂」。
こちらも「ファサード(正面)」がはっきりわかります。
『聖ワシリー大聖堂』は、東西南北どの面もファサード(顔)ともいえる作りになっています。
ロシアの建築物の中でも、「ファサード(正面)」がない、どの面もファサードといえる作りは珍しいといえます。
こちらは、北西から見た『聖ワシリー大聖堂』。
こちらは、北東から見た『聖ワシリー大聖堂』。
どちらの面も「ファサード(正面)」といってもおかしくないですね。
『聖ワシリー大聖堂』の玉ねぎ屋根の違い
『聖ワシリー大聖堂』といえば、やっぱりあの玉ねぎ屋根。
英語では「Onion dome(オニオンドーム)」、ロシア語では「Луковичные главы(球根)」って呼ぶんですよ^^
それぞれの教会の玉ねぎ屋根は、色やデザインが違います。
写真を並べてみましたので、比較してみると面白いです。
玉ねぎ屋根がお好きであれば、ぜひ下記の動画も見てみてください。
わたしが以前キジー島(ロシアの世界遺産です)へ行ったときの動画です。
木造の玉ねぎ屋根の作り方がわかります。
ロシアの十字架は棒が多い?
通常「十字架」と言えば、「+」のような2本の棒をクロスして、4つの点があるものを想像しますよね。
ですが、ロシアの十字架は棒が2本多くついていて、8つの点があります。
通称「八端十字架(Eight-pointed Cross/Russian Orthodox cross)」と呼ばれています。
「ロシア十字」「ロシアン・クロス」ともよばれます。
『聖ワシリー大聖堂』にある十字架も、すべて「八端十字架」です。
下部の斜めになった線は、足台を表していると言われています。
キリストが処刑された十字架には足台があったようです(下記画像参考)。
下部の線が斜めになっているのが特徴。
『聖ワシリー大聖堂』教会へ行ってきた!
ではここからは、『聖ワシリー大聖堂』へ行った体験談を書いていきます。
『聖ワシリー大聖堂』への行き方やチケットの買い方、聖堂内部の見どころポイントなどを書いていきますね。
『聖ワシリー大聖堂』への行き方
『聖ワシリー大聖堂』は、「赤の広場」にあります。
クレムリンの横ですね。
ですので、「赤の広場」を目指せば、『聖ワシリー大聖堂』が嫌でも目に入ってきます(笑)
下記の写真が赤の広場で撮った写真。
奥に『聖ワシリー大聖堂』が見えますね。
右側がクレムリンで、スパスカヤ塔が見えています。
『聖ワシリー大聖堂』の最寄り駅は、「アホートヌイ・リャート(Okhotny Ryad)」駅、「チェアトラーリナヤ(Teatralnaya)」駅、「プローシャチ・レヴォリューツィ(Ploschad Revolyutsii)」駅など。
どこの駅からも歩いて10分くらいで着きます。
「アホートヌイ・リャート」駅からの行き方
「チェアトラーリナヤ」駅からの行き方
「プローシャチ・レヴォリューツィ」駅からの行き方
『聖ワシリー大聖堂』のチケットの買い方
『聖ワシリー大聖堂』は、チケットを買うことで建物内を見学することができます。
教会の中を見るというより、博物館見学と思った方がいいですね。
昔は中を見ることができなかったので、いい時代になりました。
チケットは、正面入り口を入って左側にあるチケット販売ブースで購入できます。
「касса(カッサ)」と書かれている窓口でチケット購入します。
クレジットカード使えます。
『聖ワシリー大聖堂』のチケット代は、「1,000ルーブル(約2,000円)」。
なかなか強気の価格設定ですねー
ですが、世界遺産であり、ロシア建築のシンボル的存在ですからね。
これくらいは仕方ないかなー
ここで注意点。
この『聖ワシリー大聖堂』がオープンしている時間は、通常「11:00~18:00」。
クローズする45分前に、チケットオフィスも閉まります。
つまり、「17:15」がチケットを購入できるリミットです。
注意してくださいね。
*注意
季節によってオープン、クローズの時間が変わります。
詳細は、下記公式ホームページにて確認できます。
⇒ http://en.shm.ru/museum/hvb/
『聖ワシリー大聖堂』教会内部へ潜入!
では、購入したチケットをもって入り口へ。
入ってすぐ、『聖ワシリー大聖堂』のミニチュアがお出迎え。
よくできています。
ここからは、内部の見どころをポイント別で紹介していきますね。
『聖ワシリー大聖堂』内部の見どころポイント①「教会・宗教に関連した装飾」
『聖ワシリー大聖堂』は、ロシア正教の教会(聖堂)です。
ですので、ロシア正教独自の装飾になっており、それに関するさまざまなものが展示されています。
ロシア正教は「東方教会」なので、西ヨーロッパのローマ・カトリック教会とはまた違ったデザイン・雰囲気となっています。
ロシアにおける宗教アイテム
といえば「イコン」。
「イコン」とは、イエス・キリスト、聖人、天使、聖書における重要出来事やたとえ話、教会史上の出来事を描いたもの。
ロシア(東方教会)のイコンは、主に「平面画」です。
これは、マリア様のイコン。
『聖ワシリー大聖堂』には、たくさんの貴重なイコンを見ることができます。
『聖ワシリー大聖堂』内部の見どころポイント②昔のパーツ
『聖ワシリー大聖堂』は、1561年に完成しました。
もう500年近く経過していますので、現在使われているパーツは当時のものばかりではありません。
度重なる戦争や厳しい気候などで傷みが激しいため、何度も改修されています。
館内には、昔の貴重なパーツなども展示されています。
発掘された遺跡みたいなものですね。
これは壁のタイルらしきもの。
これはレンガ類。
装飾の一部ですね。
玉ねぎ屋根の一部。
これは珍しいですね。
『聖ワシリー大聖堂』内部の見どころポイント③ビザンチン建築
建築マニアのかたは、『聖ワシリー大聖堂』の内部の作りは見どころでしょう。
『聖ワシリー大聖堂』は、ギリシア正教の流れを組む「ビザンチン建築(後期)」に分類されます。
イタリアやドイツなどの教会と比較しても楽しめると思います。
やはりドーム型の天井は見どころですね。
内部には、半円アーチが多く用いられています。
教会内は、迷路のようになっています。
主にレンガが使われています。
建築時のデザインについても貴重な資料が展示されています。
わかりにくいですが、地下です。
ガラスが貼ってあり、当時の地下部分を覗き見ることができます。
『聖ワシリー大聖堂』内部の見どころポイント④内部から見た「赤の広場」&「クレムリン」
『聖ワシリー大聖堂』から見える「赤の広場」や「クレムリン」。
ロシア、ソビエト時代の時の権力者、聖職者たちが見てきた景色を、わたしたちも見ることができます。
建物だけでなく、内側から見える景色にも目を向けてみることをおすすめします。
『聖ワシリー大聖堂』の中の動画
『聖ワシリー大聖堂』の中を動画撮影してきました。
リュックの肩のところに小型カメラを設置して、ずっと録画をしていました。
ですので、わたしの視点、動きがそのままカメラにおさまっています(笑)
コンデジで撮影していたり、横顔が出てきたり、あるところでずっと止まっていたりしていますが、リアルな映像ということで。
モスクワに行かなくても『聖ワシリー大聖堂』の中を見れちゃいますので、ぜひ見てみてくださいねー
『聖ワシリー大聖堂』詳細
名称 | 聖ワシリー大聖堂(Saint Basil’s Cathedral/Храм Василия Блаженного) |
住所 | Red Square, Moskva, 109012 |
電話番号 | 8 (495) 698-33-04 |
地図 |
『聖ワシリー大聖堂』まとめ
ロシアのシンボル『聖ワシリー大聖堂』についてコッテリと書きました。
教会、建築物、デザイン、歴史・・・いろんな視点で楽しめますよね。
すこしでも裏側やコネタを知ったうえで見てみると視点も変わってくるし、記憶にも残りやすいです。
ぜひモスクワ観光に行った際は、『聖ワシリー大聖堂』観光をたっぷり楽しんでくださいね。