ロシア観光で人気の都市は、クレムリンがある首都モスクワと、エルミタージュ美術館があるサンクトペテルブルク。
このモスクワ~サンクトペテルブルク間の移動の主役は列車!
しかも、夜寝ている間についてしまう寝台列車がロシアのスタンダードです。
その寝台列車のなかでも、とくに人気なのが『グランドエクスプレス』。
プレミアム感あふれる車内と快適なサービス。
ある意味、ロシアらしくないとも言えます(笑)
本記事では、その『グランドエクスプレス』についての乗車体験談をがっつり書いてみました。
参考にしてみてくださいね。
目次
『グランドエクスプレス』について
まず『グランドエクスプレス』について、簡単に紹介しておきますね。
『グランドエクスプレス(Grandexpress/ロシア語:ГРАНД ЭКСПРЕСС)』は、モスクワ~サンクトペテルブルク間を結ぶ寝台列車。
2005年から運行がスタートしました。
ちなみに、モスクワ~サンクトペテルブルク間の距離は約650キロ。
この距離を、約9時間かけて走ります。
(東京から函館まで680キロ)
元々モスクワ~サンクトペテルブルク間は、「レッドアロー(赤い矢)」号がソビエト最初の寝台列車として活躍をしていました。
ですが、ソビエト崩壊後、さらなるサービスや設備の向上を求める声が増えました。
その流れで生まれたのが、『グランドエクスプレス』です。
ロシアらしいゴージャスさを表現した車内、しっかりと訓練を受けて質の高いサービスを提供するスタッフ。
ロシア人からの人気が高いというのもうなづけます。
公式の動画や画像を見てみると、コンセプトやイメージがわかると思います。
公式ホームページ ⇒ https://www.grandexpress.ru/en/
公式のイメージ動画はこちら。
『グランドエクスプレス』は、モスクワ~サンクトペテルブルク間を「1日1便(1往復)」走っています。
モスクワ発車の便は「23時40分」発車。
サンクトペテルブルクに「8時36分」到着。
トータル「8時間55分」の鉄道旅です。
ちなみに復路は、サンクトペテルブルクを「23時48分」発車、モスクワ「8時40分」到着です。
復路はわずかに時間が短くて「8時間52分」の乗車です。
『グランドエクスプレス』のクラスついて
『グランドエクスプレス』は、クラス(グレード)が9つあり、値段も幅があります。
とある1日のチケットの値段は下記。
いちばん安い「エコノミークラス」と、いちばん高い「グランド・インペリアル」では、約10倍の値段の差があります。
(日にちや車内での場所によっても価格は変わってきます)
クラス | 値段 |
Grand Imperial(グランド・インペリアル) | 33633ルーブル(約67266円) |
Grand de Luxe(グランド・デ・リュークス) | 28160ルーブル(約56320円) |
Grand(グランド) | 23141ルーブル(約46282円) |
Grand Single(グランド・シングル) | 20142ルーブル(約40284円) |
Premium(プレミアム) | 15250ルーブル(約30500円) |
Premium Single(プレミアム・シングル) | 12973ルーブル(約25946円) |
1st Class Business(ファーストクラス・ビジネス) | 7398ルーブル(約14796円) |
1st Class Standard(ファーストクラス・スタンダード) | 6943ルーブル(約13886円) |
Economy Plus(エコノミー・プラス) | 4054ルーブル(約8108円) |
Economy Base(エコノミー・ベイス) | 3331ルーブル(約6662円) |
いくつかの部屋をピックアップしてみます。
部屋選びの参考にしてみてください。
『グランドエクスプレス』の「エコノミークラス」
「エコノミークラス」は、1つの部屋に4つのベッドがあるタイプ。
いちばん安く、いちばん利用者が多く、いちばん座席数も多いです。
今回わたしが乗ったのも、この「エコノミークラス」。
「プラス」と「ベイス」の2つがあります。
違いは、朝食とアメニティがつくかどうかです(「プラス」につきます)。
アメニティは使い捨てのスリッパや歯磨きセットなど。
「エコノミークラス」についての体験談は、記事後半で書きますね。
『グランドエクスプレス』の「ファーストクラス」
「ファーストクラス」は、1部屋にベッドが2つあるタイプ
カップルであれば、「ファーストクラス」というセレクトもアリですね。
「ビジネス」と「スタンダード」の違いは、エコノミークラス同様、朝食とアメニティの有無ですね。
『グランドエクスプレス』の「プレミアム」
「プレミアムクラス」になると、部屋にシンクがついています。
他人といっしょになりたくない、個室で使いたいということであれば、「プレミアム・シングル」が候補になるでしょうね。
下記のYouTubeで、ロシアの女優さんイリーナ・メドジェーヴェワさんが紹介している部屋は、たぶん「プレミアム・シングル」ですね。
そのほか、各クラスのサービス詳細や室内画像は、公式サイトの下記ページに載っています。
⇒ https://www.grandexpress.ru/en/train/
『グランドエクスプレス』のEチケットの内容について
『グランドエクスプレス』のチケットですが、公式サイトでネット購入できます。
ロシア語だけでなく、英語の購入ページもあるので安心です。
公式『グランドエクスプレス』チケット購入ページ(英語)
⇒https://www.grandexpress.ru/en/train/
今回わたしが乗ったのは、「エコノミークラス(二等)」。
4人1部屋のいちばん安いクラスですね。
ネットでチケットを購入すると、チケットの詳細が書かれたPDF(E-ticket)が添付されて送られてきます。
このPDF(E-ticket)をプリントアウトして持って行き、乗車時にパスポートといっしょに見せます。
どんなチケットなのか画像を貼っておきますね。
そして、どこをチェックすればいいのか、鉄道専門用語の英語やロシア語がわかりずらいところも簡単に書いておきますね。
車両
英語で「Coach」、ロシア語で「вагон(ワゴン)」と書かれているのは、「車両」です。
何号車かということですね。
画像では「14K」と書かれていますが、これは「14号車」ということです。
このチケットを持って、「14号車」に行けばOK。
座席番号
英語で「Seat」、ロシア語で「места(メスタ)」と書かれているのは、「座席番号」です。
画像では「001нижее」と書かれていますが、「нижее(ニージィー)」というロシア語は「下」という意味です。
つまり、ベッドの下段ということです。
ベッド上段の場合は、「Верхнее(ヴェルフニィー)」と書かれています。
下の写真は、部屋の横に貼られているプレートです。
1番を見ると「下段」になっていますね。
チケットの値段
英語で「Price」、ロシア語で「Цена(ツェナー)」と書かれているのは、チケットの値段です。
数字の単位は、「ルーブル(RUR/руб)」です。
画像では「4355.7」と書かれていますので、「4355.7ルーブル(約8711円)」ということです。
『グランドエクスプレス』の発着駅
では、『グランドエクスプレス』の発着駅について書きますね。
モスクワ側の『グランドエクスプレス』の発着駅は「レニングラードスキー駅」。
英語で「Moscow Leningradsky railway station」、ロシア語で「Ленингра?дский вокзал(レニングラーツキー・バクザール)」。
ロシアでは、終点の地名が駅名になります。
つまり、「この駅から出る電車は、「レニングラード」が終点だよ」ということ。
それが、駅名でわかるということです。
「レニングラード」は、サンクトペテルブルクの昔の名前ですね。
この駅名のつけ方のロジックは、ロシア観光はじめてだとが最初わかりづらいところですね。
「レニングラードスキー駅」の場所は、モスクワ市内の中心地といっていい場所にあります。
メトロだと赤い路線と茶色の路線で行ける「コムソモーリスカヤ駅」の上にあるので、観光客にはわかりやすく動きやすい場所ですね。
グーグルのストリートビューも貼っておきます。
サンクトペテルブルク側の『グランドエクスプレス』の発着駅は「モスコフスキー駅」。
英語で「Moskovsky railway station」、ロシア語で「Московский вокзал(マスコフスキー・バクザール)」。
この「モスコフスキー駅」の建築スタイルは、ネオルネッサンス様式。
1851年に建てられました。
サンクトペテルブルクの「モスコフスキー駅」は、目抜き通りのネフスキー通りにあり、エルミタージュ美術館などへも歩いて行ける距離にあります。
観光客にはとてもありがたい場所にあります。
グーグルのストリートビューも貼っておきます。
『グランドエクスプレス』に乗ってみた!
ではここからは、『グランドエクスプレス』の体験談を書いていきますね。
モスクワの「レニングラードスキー駅」から出発するというところからです。
下の画像は、「レニングラードスキー駅」の電光掲示板。
「поезд(ポーイェスト)」と書かれているロシア語は、「列車」という意味。
「23時40分」発の「54番」列車ということですね。
サンクトペテルブルク到着は朝の8時36分。
約9時間の鉄道旅です。
ちなみに復路は、サンクトペテルブルクを23時48分発、モスクワ到着8時40分着です。
ホームに行くと、『グランドエクスプレス』が待機しています。
チケットに書かれた自分が乗る車両のところへ行きます。
(メトロのような改札はありません)
こちらが、『グランドエクスプレス』の車両。
白いボディに、ロシア語で書かれた「ГРАНД ЭКСПРЕСС(グランドエクスプレス)」の文字がかっこいい。
隣の線路には、同じく夜行でサンクトペテルブルクへ向かう「レッドアロー(赤い矢号)」が停車中。
ほぼ同じ時間、同じ行先の列車が、こうやって2台並んでいるのが面白いですね。
ロシア語で「Красная стрела(クラースナヤ・ストレラー)」と書かれています。
赤い車体は、まさに「赤い矢号」。
この「レニングラードスキー駅」のホームの様子は、動画を撮ってきましたので雰囲気を見てみてくださいね。
各車両ごとに車掌さんがチケットの確認を行います。
パスポートもあわせてチェックします。
ロシアの長距離寝台列車は、各車両ごとに車掌さんがいて、その道中いろいろと面倒を見てくれます。
挨拶をして名前をおぼえてもらうと、何かと便利です^^
ロシアでは、女性の車掌さんが多いですね。
ちなみに、寝台列車に乗る際は、出発時刻の30分くらい前には到着しておいた方がいいでしょう。
はやめにチェックインを済ませておきましょうね。
『グランドエクスプレス』のスタッフの制服がカッコいいので、公式ホームページから写真を引用して載せておきますね。
鮮やかなブルーとレッドの色づかいがステキです^^
冬仕様はこちら。
真っ赤なコートに、ロシアらしい帽子が特徴的。
こちらが、『グランドエクスプレス』の車内。
左側が客室で、右側が窓です。
部屋の前に、部屋番号とベッドの番号が書かれたプレートが貼られています。
今回わたしが乗るのはエコノミークラス(2等客室)。
4名1室のコンパートメントです。
コンパートメントは、ロシア語で「Купэ(クペー)」と言います。
「Место(メースタ)」というロシア語は「座席」という意味です。
「Место(メースタ)」の下に書かれた数字が、席番号になります。
この数字を見て、自分の座席を探します。
下の画像の「Купэ(クペー)1」には、座席番号1~4が割り当てられています。
隣の「Купэ(クペー)2」は、座席番号5~8が割り当てられているといった番号のふりかたになります。
これがエコノミーの車内。
上下にベッドが2つずつという配置です。
テレビはありますが、ほかの乗客といっしょだと見ることはあまりないですね。
赤い色がゴージャス感を出していますね。
こちらは下のベッド。
「Гранд Экспресс(グランドエクスプレス)」という刺繍が入っています。
今回わたしは上段のベッドで。
落下防止のパイプもついているので安心です^^
各ベッドには、小さなランプと電気のコンセントが用意されています。
コンセントですが、あくまでも補助用と考えておいた方がいいです。
それほど強くないので、ずっとつないでいても充電完了しないみたいな(笑)
足元上部にはスペースが空いているので、荷物はこの場所に入れます。
小さな網棚もついています。
スマホとかバッテリーとか、ちょっとした小物を置いておくのに便利。
窓とテーブルは下段のみ。
ざっと車内の他の場所の写真もアップしておきますね。
こちらは、ミネラルウォーターとお湯。
お茶やカップラーメンなど持ち込み、このお湯を使ってもOK。
車内の前後に設置された電光掲示板には、気温と時間が表示されます。
ちなみに、ロシアの温度表示は「摂氏(℃)」です。
『グランドエクスプレス』のトイレについて
トイレはかなり大事なので(笑)
写真多めで紹介します!
結論から言うと、とてもキレイでした。
トイレットペーパー、消臭剤もちゃんとセットされていますね。
車掌さんがこまめにトイレ清掃していたようでした。
便座は、ロシアでたまに見かけるビニールが自動で出てくるタイプ。
手を近づけると、電動であたらしいビニールが回転してセットされる仕組み。
けど壊れていることが多くて、今回も壊れてた(笑)
便座を拭くための液体やシートなどはないので、衛生面が気になる人はウェットティシュなど持っていきましょうね。
ちなみに、流すときは便器下についているペダルを足で踏んで流します。
トイレが空いているか使用中かは電光掲示板で確認できます。
飛行機と同じようなシステムということですね。
「Туалет СВОБОДEH(トゥアレェート スバボージェン)」と書かれていて、右隅に緑のランプがついていたらトイレは空いています。
英語の「vacant」と同じ意味です。
手をふくペーパーはセットされています。
便座の横には、ちょっとしたモノを置ける台が畳まれています。
水回り。
トイレがきれいだとちょっと安心しますね。
『グランドエクスプレス』での朝食について
わたしの乗ったいちばん安い「エコノミー」は、朝食はついていません。
朝食がついているのは、「エコノミー・プラス」というクラスです。
「エコノミー・プラス」で出される朝食は、サンドウィッチかオートミール、飲み物(コーヒーか紅茶)。
ロシアの場合、けっこう違うものが出ていることが多いですので、なんとなくこんなものと思った方がいいです(笑)
朝食についての詳しい内容については、下記の公式ホームページで確認してみてくださいね。
⇒ https://www.grandexpress.ru/news/6031/
『グランドエクスプレス』からの車窓
鉄道旅行の楽しみは、なんといっても車窓からの景色。
ただ、深夜は真っ暗なので、朝になるまで車窓からの景色を楽しむことはできません。
夏の白夜季節であれば3時過ぎくらいから明るくなりますので、そうなったら朝の車窓を楽しみましょう。
といっても、ロシアは雄大すぎて同じような景色がずっと続いているので、すぐに飽きてしまうんですけどね(笑)
下の動画を見てみると、飽きる意味が分かると思います。
サンクトペテルブルクが近づいてくると、景色も建物や工場が見えるようになってきます。
『グランドエクスプレス』のWi-Fi
『グランドエクスプレス』では、すべてのクラスで「Wi-Fi」が利用可能です。
公式ホームページにきちんと記載されています。
わたしが乗ったときは接続がよくなかったので、速さの確認はできませんでした。
サンクトペテルブルク側の到着駅「モスコフスキー駅」について
朝8時36分、サンクトペテルブルク側の到着駅「モスコフスキー駅」に到着します。
「モスコフスキー駅」に到着したときの動画は下記。
「モスコフスキー駅」の構内は、コンパクトながらもロシア全土の路線図が壁に描かれていたり、ロシアの駅特有の屋根など一見の価値ありますよ!
動画も撮ってきましたのでどうぞ!
『グランドエクスプレス』の外観について
では最後に、鉄道マニアのかたのためのすこしマニアックな写真を(笑)
まずは先頭車両の顔の写真。
真ん中に白文字で「pia」と書かれているように見えるのは、ロシア鉄道公開株式会社(ロシア語:ОАО ≪Российские железные дороги≫, 略称:РЖД)のロゴマークです。
その下の「ЭП2К(EP2K)」は列車の型番ですね。
上の四角のマークは、「連邦鉄道認証システム(ссфжт)」。
ロシアのどの列車にもつけられています。
下の丸いロゴは、「Kolomna Locomotive Works (Kolomensky Zavod) 」のもの。
「コロメンスキー工場」で作られた鉄道ということですね。
こちらは、先頭車両横側につけられたソビエトチックな味のあるデザインの製造銘板。
上部には「Коломенский завод(コローメンスキー・ザボート)」と書かれていて、コロメンスキー工場で作られたことがわかります。
運転席の横の窓。
窓は、コンパクトですね。
『グランドエクスプレス』の関連サイト
『グランドエクスプレス』は、公式ホームページのほかに、「インスタグラム」や「ツイッター」などでも情報を発信しています。
イメージをつかむにはぴったりですのでぜひ見てみてくださいね。
『グランドエクスプレス』まとめ
モスクワ~サンクトペテルブルク間をつなぐ寝台列車『グランドエクスプレス』について、詳しく書いてみました。
シベリア鉄道や「レッドアロー」にも乗ったわたしの目から比較すると、やはりサービスに力を入れているなという印象を受けました。
非常に快適です。
車両や設備もシベリア鉄道のものとほぼ同じですので、短い時間ながらもシベリア鉄道旅行気分を味わえると思います。
首都モスクワと、日本の京都のような場所ともいえるサンクトペテルブルク。
観光でこの2都市を行き来する場合があれば、『グランドエクスプレス』での移動はグッドチョイスだと思います。
ぜひお役立てくださいね。